今回は、渡辺美里さんの4thアルバム「ribbon」を、聴いてみての感想と考察を書いていきたいと思います。
このアルバム「ribbon」は、1988年5月28日にリリースされた4thアルバムです。
渡辺美里さんは、1985年5月2日にシングル「I’m free」でEPIC・ソニーよりメジャーデビューしました。
※ちなみに、2018年5月23日に、アルバム発売30周年を記念し、3曲追加した『ribbon -30th Anniversary Edition-』がリリースされています。
そちらにつきましては、また違う機会に述べさせていただきたいと思います。
今回はあくまでも初版の「ribbon」の感想、考察とさせていただきますので、あらかじめご了承くださいませ。
渡辺美里アルバム「ribbon」の曲目紹介
1.センチメンタル カンガルー
作詞:渡辺美里、作曲:佐橋佳幸、編曲:佐橋佳幸、ホーンアレンジ:清水信之
これ、シングルになってもいいんじゃないかと思うほどキャッチ―な曲です。
オープニングナンバーにふさわしいですね。
「恋したっていいじゃない」「10 years」と同じくUCC缶コーヒーのCMで使われました。
ミディアムテンポでホーンセクションが入ったギターポップス曲です。
明るくて、力強くて、元気を与えてくれて、まさしく渡辺美里の真骨頂です。
ゆーかりのカラオケ18番です♪
2.恋したっていいじゃない
作詞:渡辺美里、作曲:伊秩弘将、編曲:清水信之
1988年4月21日にリリースされた10枚目のシングルとなっております。
明るいアップテンポのロックポップスで大ヒットしました、この曲。
それまでもベストテンという歌番組などでたまーにTVで見かけていた美里さんですが、この曲は初のCMまで果たし、メディアに露出するきっかけになったかと思われます。
UCC缶コーヒーのCMでしたね。めっちゃかわいいし、歌もいいし、「これ売れちゃうなー」と内心寂しい気もしました。
夜のヒットスタジオに出た時のことをとてもよく覚えていて、とにかく美里さんが踊りまくって歌うのです。
UCC缶コーヒーのCMではこの後「センチメンタル カンガルー」と「10 years」も連続で起用されました。
コアラくん
それまでは「女版・尾崎豊」と言われていたこともありましたよね。
うん。でもいい意味で、「アーティスティックでなければいけない」的な殻を破ったなと感じました。
作曲は伊秩弘将さんなのですが、コーラスには岡村靖幸さんが登場します。
岡村靖幸さんが「D~A~T~E~」といっているところが「ディ~、へ~、ティ~、ヒ~」に聴こえます。あまり関係ないですね。
で、岡村靖幸さんの曲にも「DATE」という曲(アルバムタイトルにもなった)があります。
3.さくらの花の咲くころに
作詞:渡辺美里、作曲:木根尚登、編曲:清水信之
この頃の美里さんのアルバムには、たいてい1曲だけ木根尚登さんの曲が入るのですが、その1曲がいつも絶品なんですよね。
この曲も超絶品です。
アコースティックギター主体の穏やかな曲調の上に、伸びやかな美里さんの歌声が乗っていて、まさに桜の咲く春にピッタリの曲です。
「春になるといつも昔のお友達を思い出す。」という、まるで叙情詩のような素敵な世界観を、見事に歌いあげています。
4.Believe(Remix Version)
作詞:渡辺美里、作曲:小室哲哉、編曲:大村雅朗
1986年10月22日にリリースされた7枚目のシングルで、リミックスしてこのアルバムに収録されました。
沢口靖子さん主演の「痛快!OL通り」の主題歌でした。
ゆーかりはこのドラマ自体は見てませんでしたが、主題歌であることは知ってました。
静かな部分、徐々に盛り上げていく部分、壮大な部分と、幾度も楽曲が展開していく、これぞ小室哲哉真骨頂といった曲調です。
あ、のちのダンスミュージックのイメージがつく前の、美里さんへの提供楽曲としてという意味です。
90年代の小室サウンドとは全然違って聴こえますが、メロディとコードワークに特徴があるんですよね、小室さんの曲は。
この曲が歌えるようになりたくて、家でめっちゃ歌の練習をしましたよ、私は。
5.シャララ
作詞:渡辺美里、作曲:岡村靖幸、編曲:佐橋佳幸・西平彰
この曲がシングルにも、シングルのB面やカップリングにもなったことがないなんて、にわかに信じられません。
このアルバムの曲は、いかんせんそういったモンスター級の楽曲ばかりです。
「シャララ」ほどキャッチ―な曲ないでしょう、と今でも思います。
と思ったら、やはり岡村靖幸さん作曲なのです。
「さわやか美里」の面を強調、代表したような歌です。
明るい、希望、さわやか、といったワードがぴったりな楽曲です。
6.19才の秘かな欲望(The Lover Soul Version)
作詞:戸沢暢美、作曲:岡村靖幸、編曲:佐橋佳幸、ホーンアレンジ:清岡太郎
この曲はもともと、1986年7月2日にリリースされた2枚目のオリジナルアルバムである「Lovin’ you」に収録されていた楽曲です。
ホーンアレンジが施された新しいアレンジになって、こちらのアルバムに収録されました。
岡村靖幸さん作曲で、岡村さんも自身のアルバム『DATE』にてセルフカバーしております。
当たり前ですが、同じ曲なのに美里さんの「19才の秘かな欲望」と、岡村靖幸さんの「19才の秘かな欲望」、全然違うイメージに仕上がってます。
美里さんの「Lovin’ you」に収録されているバージョンは、岡村靖幸さん特有のプリンスっぽいネチネチしたロックサウンド(かっこいい)ですが、こちらのバージョンはホーンアレンジがなされ、ノリも良くなってます。
曲の最後のほうで、美里さんが「スキャット」と言われる歌唱法(意味を持たない言葉と音で歌う、ジャズで使われる歌唱法)で歌うのですが、それがすーーーごくかっこよいのです。
これではじめてスキャットというものを知ったわけですが、ゆーかりのイメージとしては、由紀さおりさんの「夜明けのスキャット」というより、スキャットマン・ジョンの「ピー、ラッパッパラッパ」のほうが近いです。
スキャットは恥ずかしさを捨てないとできないので、カラオケとかではなかなか歌えないですね。バンドで歌うならいけると思います。
7.彼女の彼
作詞:渡辺美里、作曲:佐橋佳幸、編曲:佐橋佳幸
これだってシングルカットしてもいいほどの曲だと思うんだけどなー。
失恋した片思いの彼への思いを赤裸々に綴った歌詞です。
それを、明るいポップな曲調に乗せて歌うから、余計に切なさが伝わったきます。
だけどどこかカラッとしてるというか、「明日があるさ、次に進もう!」みたいな前向きさがあるんですよね、美里さんのラブソングって。
ゆーかりは、何度その歌に救われてきたことか。
8.ぼくでなくっちゃ
作詞:渡辺美里、作曲:渡辺美里、編曲:清水信之
この曲はこのアルバムの中で唯一の、美里さん自身による作曲となっております。
美里さんが、ポツポツとひとりごとを言っているかのような、歌詞と歌いぶりです。
アレンジは、ドラムパートに打ち込みを使っていて、今までの楽曲にはない不思議な雰囲気をかもしだしています。
不思議の国のアリスの主人公になったみたいな気持ちになる曲です。
9.Tokyo Calling
作詞:渡辺美里、作曲:伊秩弘将、編曲:清水信之
この曲は、かなりストレートな表現で、環境破壊のことを歌ったメッセージソングです。
伊秩弘将さん作曲ですが、この伊秩さんの作る曲にも、「伊秩節」というのが確実にあります。
この曲のアレンジはロックポップスなのですが、メロディが、のちのSPEEDの曲にも通じるものがあります。
ここにきて大活躍の作曲家さんですね。
10.悲しいね(Remix Version)
作詞:渡辺美里、作曲:小室哲哉、編曲:小室哲哉
こちらは1987年12月9日にリリースされた、9枚目のシングルとなっております。
「冬」それも槇原敬之さんの「冬がはじまるよ」のようなワクワクするような冬ではなく、「心が寒い冬」という、まさに悲しいイメージの曲です。
森昌子さんの「越冬つばめ」に近いかな。いや演歌ではぜんぜんないのですけどね。
自分らしく素直に生きたいという思いを歌った歌です。
大人っぽく落ち着いた、いよいよ降臨、「小室哲哉の曲!」って感じのとても素敵な楽曲です。
何百回聴いたかな。
11.10 years
作詞:渡辺美里、作曲:大江千里、編曲:有賀啓雄
この曲はこの後、1988年10月21日にリリースされる12枚目のシングル「君の弱さ」のカップリング曲にもなっております。
こちらも「恋したっていいじゃない」「センチメンタル カンガルー」と同じくUCC缶コーヒーのCMで使われました。
大江千里さんの曲もこの時代、アルバム1枚につき1曲入っていましたが、木根尚登さん同様、その1曲が絶品なんですね。
これは直接的に涙腺を刺激してくるちょっと切ない曲です。
美里さんもライブの時、この曲を歌う時は、笑顔でありながらも目に涙をためて歌うのが印象的です。
「あれから10年、これまでも突っ走ってきたけど、大切ものは何か?という答えは今も見つけられない」といったことを歌っています。
美里さんといえば「前向き」「元気」みたいな歌詞もたくさんあるのですが、心の葛藤を切り取って表現するのもとても上手なのです。
この曲を今聴いても「あー、そうそう、そうなんだよ。」と思わずうなってしまう自分がいます。
歌詞に「あれから10年も。この先10年も。行き詰まり、うずくまり、かけずりまわり、この街に、この朝に、この掌に、大切なものは何か、今も見つけられないよ」とあります。
奇しくも今日、この記事を書いているのは2021年3月11日。
東日本大震災からちょうど10年です。
あの日失くしてしまったものが大きすぎて、何年経っても心を埋めることなどできないでしょう。
震災で犠牲になられた方へ、心からご冥福をお祈りいたします。
渡辺美里のアルバム「ribbon」を聴いての感想・考察
ゆーかりは、これのCDを紙箱ジャケット(初期盤のみ)バージョンで持っています。
毎度のことなのですが、とにかく歌詞見ながら聴きまくってるので、ボロボロです。
このアルバムのキャッチコピーは「戦後最大のポップアルバム」と掲げられていました。あー、思い出しました。美里さん自身がそのように言ってました。
宣戦布告ともいうべき、すごいキャッチコピーですね、今考えると。
でもその名に恥じることのない、どれもシングルカットしたいほどの、最大級のポップなアルバムです。
よろしければ、ぜひ聴いてみてくださいね。