激務とバンド活動…無理を重ねた日々
私が発声障害を意識するようになったのは、20代前半、ある日突然というよりも、「あれ?なんか声が出しにくいな」と感じたことが始まりでした。
当時の私は、アパレルショップでフルタイム勤務をしながら、プロの音楽活動を目指してバンドのボーカルも担当していました。
ショップ勤務では「元気よく、ハキハキと!」というスタンスが求められ、大声での接客が日常。早番・遅番の区別もほぼないような状態で、常に身体も喉も酷使していました。
精神的にも、仕事のストレス・人間関係のしんどさ・バンド活動が思うようにいかない焦り…いろんなものを抱えながら毎日を送っていたように思います。

「喉の不調」が日常になるまで
朝から夜まで立ちっぱなしで接客をこなし、帰宅後は深夜までスタジオで練習する生活。休みの日もライブがあれば声を出すので、気づけば一週間のうち完全に声を休める日はゼロでした。睡眠時間も不規則で、喉のケアよりも「今日を乗り切ること」を優先し、毎日に追われていました。
でもある時期から、喉が詰まるような違和感が日常的に続くようになり、
「声が途切れる」「初音がうまく出ない」「喉がギューッと締めつけられる」など、明らかにいつもと違う感覚がありました。
最初は「風邪かな?」「ちょっと疲れてるだけかも」と思っていたものの、
日を追うごとにその違和感は慢性的なものになり、
「これはさすがに、何かおかしい」と本格的に不安を感じ始めたのです。

“病気じゃない”という診断に突きつけられた現実
本格的に不安を感じ、意を決して地元の大病院の音声外来に予約を取りました。数ヶ月待って、やっと受診。
しかし、驚いたのは診断結果でした。
「あなたは発声障害ではありません」
——正直、愕然としました。
診察当日は症状が少し軽く出ていたこともあり、「最近はネットで情報を見て勝手に自己診断してくる人が多いんです」とまで言われてしまいました。
私はただ、きちんと病名をつけてもらって、適切な治療(ボトックス治療や言語聴覚士のサポート)を受けたかっただけなのに…。
音声外来の診断で絶望。そこから試行錯誤の始まり
その音声外来では「病気ではないので、特に治療の必要はありません」と言われて終わりでした。私はその瞬間、医療の手からも見放されたような気持ちになりました。
他の専門病院を探そうにも、ほとんどが遠方にしかなく、仕事を抱えながら通うのは現実的ではありませんでした。
そこから始まったのが、「自分でなんとかしなければ」という長い長い試行錯誤の日々です。
ネットで情報を探し、書籍を読み、ボイトレや漢方、サロン、スピリチュアルまで……とにかく、自分の声を取り戻すためにできることは何でも試してみました。
発声障害のはじまりは、生活・心・環境の全てが関わっていた
歌うことが好きだった自分が、声を出すこと自体を怖いと感じ始めました。
友人にカラオケへ誘われても断り、日常の中から「歌う楽しみ」が消えていくのがとても寂しかったのを覚えています。
自分の声が自分の声でなくなるような感覚は、本当に心細いものでした。
発声障害の原因は、本当に人それぞれだと思います。
でも、私の場合は「無理を重ねた生活」「ストレス」「声の使い方」など、たくさんの要因が絡み合って発症したと感じています。
大切なのは、「自分を責めないこと」「周囲の無理解に傷つきすぎないこと」「情報を探しすぎて消耗しないこと」。——今だからこそ、そう思えるようになりました。
もし今、声のかすれや出しにくさを感じている方がいたら、どうか「そのうち治る」と放置せず、早めに休養を取り、耳鼻科や音声外来など専門家に相談してみてください。
私も「まだ大丈夫」と思って無理を続けた結果、回復までに予想以上の時間がかかってしまいました。
声は替えのきかない大切な資本。どうかご自身の声を守ってあげてください。

この記事のまとめ
・発声障害は、明確な“発症日”がないケースもある
・激務や人間関係など、環境によるストレスが大きく関わる
・病気と診断されなかった経験も、結果的には気づきにつながった
・発声障害は「喉の問題」だけではなく、「心と体のバランス」が大きく影響する
・声のかすれや出しにくさを感じているなら、早めに耳鼻科や音声外来など専門家に相談する
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▶ 【動画】発声障害克服のためのボイストレーニング
🎤 別チャンネルのお知らせ
最後に、私ゆーかりの別チャンネル Yuukari Channel のご案内です。
私は発声障害を克服すべく奮闘中ですが、
「今出せる声で、今できることに挑戦しよう!」をモットーに、主にカバー曲を歌っています。
曲数も楽しみながら少しずつ増やしていきますので、ぜひ覗いてみてください。